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2025/02/02 10:28 |
十二・十三日記。謎設定SS。
毎回日記がチキレなのはどうよって話ですか。そうですね。でも今週忙しかったんだよう、と、目頭を押さえつつ訴えておきます。訴えたら誰か同情してくれるかもしれないし(待てや)
そんなわけで今回の日記も一段落しました。ふう(汗拭い)
友情出演有難うございます、この後は各自で好きに想像してくださいという事で(何を)
そんなわけで一晩だけ元の姿に。絵はいずれ上げられたらいいなあ(希望だった)

とりあえず次回でこの謎設定SSは終了です。そんな引きずるネタでもないですが(笑)
次はアクアで使ってたパパン登場予定。…ヤツ書くのは凄く体力使うので今から書かないとね(遠い目)



◆◇◆
閑話休題~~あるいは舞台裏~~


祭りが終わって、後。
誰もいない静かな森の前に、音も無く姿を現した人影が、ひとつ。

「ったくもう……人が楽しんでたっていうのに、何でこんなところまで邪魔しに来るかね、お前らは」

苛立ちのままにガンッ、と地面を蹴ると、ころん、と、薄ら蒼く発光している石が地面に転がった。

ころころころ……ころん。

数回転がった後、その動きを止めた石を見下ろしながら視線を転じると――そこには、先程まで影も形も見えなかった、異形の屍が転がっていた。

「おーい、まだ生きてるよなー? 折角生かしておいてやったんだ、精々俺の役に立ってから死んでくれよ、お馬鹿ちゃん」

不機嫌そうな表情を隠しもせず、ディンはぞんざいな仕草で屍体を蹴り飛ばす。
ソレに反応して、今までぴくりとも動かなかった屍体が、こぉぉ…、と奇妙な呼吸音らしき音を響かせた。

「ふん、生命力だけは人一倍……ってことは、やっぱあっちの差し金か。
だろうな、他の三軍なら、折角離れた火薬庫をつつきには来ないっての」

心底下らなさそうに吐き捨てながら、ディンは足元の異形の上に足を乗せる。
鋭利な刃物で切り裂かれ、ぱっくりと肉の断面を晒している、千切れた足の上に。

「……っ!? ッ 、――!!」
「無駄無駄無駄。どうして最初にお前の喉を狙ったと思ってんだ。五月蝿くされないように、だよ」

未だ異形の喉元に刺さったままの風の鏃が言葉を奪っているという事実を告げながら、ディンは目を細めて苦痛に全身を痙攣させる相手を見下ろす。

「お前が告げていい言葉はふたつ。
俺の居場所を誰に聞いたかと、どうやってここに来たか、だけだ」

ゆっくりと、ゆっくりと、傷口の上に下ろされた足に体重が掛けられていく。
時折足に掛けられる力が緩められては、暫しの間を置いて先程よりも強く踏み込んで。

「お前がこの苦痛に慣れるのと、出血多量で死ぬのと、狂うのと、どっちが先なんだろうな?
まあ、このままじゃ、お前には選べないだろうけど」

月明かりに照らされた白い貌(かお)に浮かぶのは、温もりなど微塵も見えぬ薄い笑み。
踏み込む足が汚泥のような血で穢れるのも構わず、ディンはその行為を続ける。

「――――ァ……!」

まるで悲鳴のような弱々しい声が、大きく裂け、牙の生えた顎(あぎと)から、紡がれようと、した、ところで。

「っ! しま――っ!?」

瞬時に顔色を変えたディンが、咄嗟に相手から距離を置こう、と大きく飛び退く。
それと、同時――


ドォォォン――!


近くで上がっていた花火よりも大きな音が、響いた――




爆音は、ひとつ。
つい先程まで異形とはいえ、人のカタチを模していたそれが、跡形もなく四散した音。

既に異形が存在していたことを示すのは、ふたつだけ。
周囲に立ち込める煙と、大きく抉れた地面のみ。

先程までディンが存在していた、その場所に――人影は――ない。

ディンがソレに気づくのは、遅かった。
どう回避しようとも、致命傷を免れえない、そのタイミング。
だからこそ、ディンの姿は無く。


「――趣味悪ィな、クソ。
自分の意思ならともかく――爆弾扱いなんざ、反吐が出る」

そこに、人影は無かった。
あるのは、月明かりに照らされ、地面に落ちた誰かの影。

「ちっくしょ……道理で弱いのが一体なワケだ。
こういうパターンは初だな……ああ、確かにあの性悪岩頭ジジイの考えそうなことだよ!」

聞こえてくる悪態は、上。
そこにあるのは、月を背にして月よりも淡い光を背に纏った青年の姿。

その髪は長く。
その手足は長く。
その口調は変わらず。
その背には、四枚の金の翅。

少しばかり窮屈そうに少年の衣服に身を包んだ青年は、肩で息をしながらゆっくりと地上に降りる。
月明かりに照らされた表情は苦いものを含んで、ぽっかりと開いたクレーターを見下ろした。
年の頃は二十四、五か。少年の面影を残した青年は、難しい顔で拳に力を込める。

「他の横槍がない分、趣味に走って陰険度アップってことか……やっぱ、俺を一番始末したいと思ってる馬鹿はあの馬鹿、ってことだな」

苛立ちに合わせるよう、金の翅が小刻みに震える。鱗粉のような光の欠片が翅の動きに合わせて零れ、地面に落ちる前にその輝きを消した。
苛立ちながらも憔悴したような様子は隠せず、は、と短い溜息を吐いてこめかみを押さえる。
爆発の瞬間、ディンは力を塞き止めていた堤を無理矢理こじ開け、上空へと回避しながら激流のように暴力的な力の流れを下部へと向けて開放した。
だが、まだ未成熟な身体は激流に耐え切れず――脳髄が焼き切れる前に、『力に耐え切れる器』を、無理矢理に引き戻したのだった。

「戻るつもりなかったんだけどな……クソ、勿体無いことさせんなよ」

吐き出した呟きは苦く、夜の風に消える。

「やれやれだ……この調子だと、暫くの間はこのままでいないと、か。せめて明日の朝までにはいつもの姿になれりゃいーんだが」

左耳のピアス、夏の宵の色を閉じ込めた宵藍(シャオラン)の色を宿したピアスに触れ、やれやれと天を仰いで明日の予定を確認する青年は、肩を落としてピアスから手を離した。
そのまま、地面を詰まらなさそうに蹴りながら、傍らに抱えていた鞄から一枚の白いマントを取り出す。
翅が震え、その輪郭が花火の残滓のように夜に溶ける。小さく息を吐いて全身を覆い隠すようにマントを羽織ると、青年は顔を上げて森の奥を見た。

「むかつくけど、一回クソ親父に連絡取らないとなあ……。きっちり原因説明して貰わないと、おちおち離れてもいられないし」

真っ直ぐに立って、目を閉じる。腰までの髪を揺らす夜風に人差し指だけでめ、と釘を刺しながら、風の流れを掴もうと手を伸ばし、ゆっくりと握り込んだ。
暫しの間を置いて開かれた掌の上で、小さな旋風がくるくると遊ぶ。

「とりあえず、朝にでも親父呼んで来てくれるか? この状態じゃどーせ城にも森にも大人しくしてないだろうし、この島のどっかに隠れて俺に見つかるの待ってるだろうから。
……あ、あとルカにはこれ伝えるなよ」

――くる……くるくる。

了承を示すように一度回転を止め、そして先程よりも回転のペースを増した旋風に微笑いかけた青年は、その手を上げて旋風を風の流れに乗せた。

「さて、と。
結局何の収穫もなかったことだし、大人しく宿に帰るか……あ、でも人に見つからないようにしないとなー。
さてさて、気をつけて帰ろ、――」

ぶつぶつと呟きながら、青年はその場で力いっぱい伸びをして踵を返す。
その、真正面に。

「ディン、か……?」

気をつける前にいつの間にか現れた邂逅者は、ついさっき知り合った、銀の髪の青年、だった。
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2007/07/29 14:56 | Comments(0) | 行動記録

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