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2024/05/03 17:48 |
今更日記。
凄い今更です。
どれくらい今更かって8月分です。
…そういや上げるの忘れてたよ…(バカ)
そんなこんなに遠い目をしつつ、昔の日記、完結編、らしいです。
閑話休題~~あるいは舞台裏 その三~~-

コンコン。

静かな部屋に響くノックの音に、部屋の奥にいた青年は小さく溜息を吐き出す。

「……開いてないけど、勝手に入れよ」

横暴な台詞は、扉の外に聞こえるか聞こえないかくらいの音量で。視線を上げて扉を見つめるディンの耳に、応(いら)えを返す相手の言葉が届いた。

「はぁ~いっ☆ それじゃ遠慮なくお邪魔しまっすっ♪」

――耳元で。

「だわっ!? な、ちょ、どっから入ったクソ親父ー!?」
「んっ、ディンくんが勝手に入れって言ってくれたから、そこの窓からこっそりお邪魔してみましたっ☆」

言われて振り返れば、そこには爽やかな早朝の風にはためくカーテンと申し訳程度に開いた窓。

「つか今のノックは何だったんだよフェイクかフェイクなのかふざけんなそんなところで息子引っ掛けてるんじゃねーっ!!」
「あはははー♪ だって息子とはいえ人の部屋にお邪魔するんだからノックはしないとねー。親しき仲にも礼儀あり、だよー?」
「なら大人しく扉の方から入ってきやがれ! なんでそこで窓!!」
「ん、そっちの方がディンくんに近かったからっ♪ わーい、ディンくんだディンくんだー、久し振りのおっきいディンくんー☆」
「だあああっ! 気持ち悪い擦り寄るな抱きつくなベタベタすんなーーーーーっ!!」

ごすっ。

やたら鈍い音の発生源は、何も入っていない花瓶から。

「うえぇぇ……痛いよディンくん~~」
「ゼェ、ゼェ……自業、自得だ……」

頭を両手で押さえた父親からようやく解放され、ディンは肩で息をしながら相手と距離をとった。いかにも警戒してます、と全身で自己主張しながら肩を怒らせ、ベッド脇でうーうーと唸っている実の父を睨み付ける。

「大体また何だその格好、何の冗談だ」
「あ、これ可愛いよね☆ この前知り合いになったみゆりんの店で揃えたんだけど、この襟元の」
「聞いてねぇよ」

ほっとけば際限なく無駄なテンションで喋り続けるであろう父親を一言で切り捨てると、ディンは一度、落ち着くために大きく息を吐いた。

本来の姿に戻っている自分とさして変わらぬ外見年齢を持つ父親は長い髪をポニーテールにして、肩を露出したロゴ入りのノースリーブハイネックの上から、あろうことかピンクのポーチを下げて何やらファンシーなぬいぐるみを抱えている。
……まあ、そこまでなら許さなくもなかったか。

「ピンクのハート型サングラスってどうよ……」
「えへへー、似合うかなっ♪」
「割るぞコラ!!」

きゃー、暴力反対~☆ とキャッキャしながら逃げていく父親にひとしきり罵声を浴びせてから、ディンはぜーはーぜーはーと肩で息をして、距離を開けてちょろちょろしている父親を恨みがましくじーーー、と見つめた。

「……ったく、どんだけふざけても忘れねーぞ、そこ。
島までは来させないって胸張って約束したのはどこの誰だ?」
「……ぴきゃぅ↓」
「どんな鳴き声だ。
さー、どういう言い訳を聞かせてくれるのかなあ、おとーさま?」
「うっうっうっ、ディンくんが満面の笑顔に凄みをつけるための横線入れて迫ってくるよぅ、いぢめるよぅー」
「泣き真似すんな気色悪い!
そりゃ嫌味も言いたくなるわ、今回、俺は無事だっつーから、ここに落ち着いて普通の冒険者生活エンジョイしてたんだぞ。
結局あいつらが来るっつーなら、他所様に迷惑掛からないようにロンリネス流れ者やるっての」

小さな子供のように両の拳を目の下に当てて典型的な泣き真似を披露する父親を一喝し、ディンは不機嫌そうに目を細める。
そこに己の為でない苛立ちが含まれていたのに気づいたか、アレなポーズの相手は泣き真似を止めて姿勢を正した。

「ん、それに関してはこっちの手落ち。ゴメンね。
包囲は完璧だったんだけど、ちょっと手違いがあってね……。今件に関しては、僕の名にかけて責任は取るよ。
次は無い。約束するから、ディンくんは島での生活を楽しんでくれればいいんだよ」

最後の言葉は、引き締めた表情とは一転、安心させるように柔らかな微笑を浮かべて。
そこまできっぱりと断言され、まだまだ文句を捲くし立ててやろうと思っていたディンは神妙な顔で口を噤む。
決まり悪げに視線をさ迷わせ、一言、「分かった」と頷いた。

「ん、今日みたいに色々、日々を楽しんでね。
何も気にせずに楽しめる日常は、貴重なんだから」

ぽむぽむ、と、己とさして見た目も身長も変わらぬ息子の頭を撫でる。
された方はと言えば、複雑そうな表情を隠しもせずに頭上の手を見上げ……ふいに、口角を吊り上げた。

「んじゃ、責任代わりに早速頼もうかな、コレ」
「え、なぁ、に……」

疑問系で聞き返そう、とした相手は、ディンの手に握られた封筒に全てを察して口を開きかけたままで、硬直した。

「母上への手紙。そろそろ連絡しないとと思ってたんだけど、今回ルカ経由ってワケにもいかないしさ~。
ってコトで、ヨ・ロ・シ・ク」

ぺちぺち、と硬直した父親の鼻先を手に持った封筒で叩き、ディンはその表情に満面の笑みを浮かべる。
対する父親はと言えば、ようやく固まった状態から開放されたと思えば一転、はわ、はわ、と口をパクパクさせて両手を忙しなく上下させた。

「ちょっ、いやんっ! シャミールちゃんトコに行ったら僕いっぱいいっぱい怒られちゃうじゃないかぁーっ!」
「……ふっ、やっぱ母上にナイショで抜けてきてんだなこのクソ親父。
ならば観念してとっとと城に戻って牛乳を拭いたまま放置されていた使い古しのボロ雑巾のように絞られて来るがいいわ!」
「ええっ、何その具体的にイヤな例え!? それ多分最後捨てられちゃうんじゃ!?」

マジ半泣きで落ち着き無く声を荒げる父親にようやく一矢報いた、と満足げなディンは、ふふふふふ、と性格の悪い笑みを浮かべて封筒をひらひらと眼前に翳す。
まるでその封筒が魔除けの札でもあるかのようにじり、と一歩ずつ下がっていく父親を追い詰めていくのが楽しくて仕方ない、といった表情は、見た目こそイイ年の青年であれどもかなりガキっぽくて普段の少年の姿と大差なく、全力で大人気ない感を漂わせていた。
ふふふのふ、と、折角の整った顔も台無しな笑みを浮かべる息子に対し、父親はと言えば、胸の前で両手を組んで瞳を潤ませる、所謂乙女ちっくポーズを一部の隙も無く披露して必死に訴える。
くわっ、と目も飛び出さんばかりに見開いて、悲痛な声を上げて言うことは、といえば。

「僕にはディンくんを見守って、万一ディンくんがすっごくピンチに陥った時に謎の美青年仮面として助けに入るって完璧な計画があるのにっ!」

「 い ら ん わ っ ! !」

――全力で振るわれたハリセンは、静かな夜の宿に、とてもイイ音を響かせたという。



「ふえええぇぇ~ん、ディンくんのおにぃ~……」
「誰が鬼だクソ親父。
ともかく頼んだからな、しっかり届けてくれよ、ちょ・く・せ・つ!」

わざとらしく強調する息子のジト目にも全く堪えず、泣き真似ぶりっこのまま手紙を受け取って渋々と懐に収める父親は、何故か携えていた唐草模様の風呂敷包みを背負い直して立ち上がる。

「ううぅ、分かったってばあ。そんな怖い目しなくてもいーのにー。
久し振りに会ったおとーさんなんだから、感動でぎゅっとしてキスまでサービスしてくれてもバチは当たらないよ?」
「親父にキスするくらいなら頭頂部砂漠状態のガマ油生産できそうなデブい中年に抱きつく方がマシ」
「ひどっ!? 流石にその例えは傷つくよ!?
僕、ディンくんに似て格好良くて美人さんなのにー、のにー、のにー」
「自前エコーやめいっ!
つか似ててもちっとも嬉しくない! これっぽっちもミクロン単位でも嬉しくない!」

他者から見ると、二人の容姿は明らかに似通っている。現在の外見だけならば同年代と言えないこともない親子は、むしろ双子と言った方がしっくり来るほどだ。
本人もソレを自覚しているのだろう、ぜいぜい、と肩で息をしながらきっぱりと拒否する口調からは、『認めたくないけど認めざるを得ないことが全力で忌々しい』という訴えが滲み出ていた。

「ふええええんっ、ディンくんがいぢめるぅぅ~~」
「帰れっ!」

無駄に過多な演技力を駆使してショックを受けたリアクションを取る父親に、ディンはシンプルな罵声と共に枕を投げつける。

「なーいすきゃーっち♪ はい、どーぞっ」
「ぐああああ、むーーかーーつーーくーー!!」

きゅむっと投げつけられた枕を抱きしめた父親から手渡された息子がベッドを叩いて悔しがっているのを尻目に、風呂敷包みを背負った父親は入ってきた時と同じように扉ではなく窓に向かう。その姿はどう見ても古きよき日の盗人姿であった。手ぬぐいを顔に巻いていないのが残念に思えるほどだ。

「あ、そだ」

ぴたり、と窓枠に足をかけた状態で静止した相手は、忘れてた、と言いながら振り返る。

「僕が言うことじゃないけど、スズメちゃんも銀狗くんもいい子だよ。
二人とも、他人の事情に潰されるような子じゃないから、大丈夫」
「……そんなの、最初から分かってるっての」
「あはは、そうだね。ごめんごめん。余計なお世話だったかな」

父親の言葉に、先程までとは意味合いを変えた表情で応えるディン。それに本当に嬉しそうに微笑んで、一人の父親は小さく頷いた。

「……あ。でもスズメちゃんはあれで職業柄なのか結構やっちゃう子だから気をつけてね? 具体的に言うと背後関係」
「は?」
「あと銀狗くんのごはんは結構美味しいから食べさせて貰ったらどうかなっ」
「ちょ、なんで知ってるんだよそんなこと!?」
「えへへ、企業秘密ー♪
それじゃ、さらばだーっ」
「ちょ、答えてから行け、馬鹿親父ーーーーっ!!」

立ち上がる暇もあればこそ。
ひらり、と空に身を翻した相手は、こちらが窓に辿り付いた時には既にその姿を朝焼けの空へと姿を消していた。

「あ、の……クソ親父がぁぁ……!」

ぎりり、と、まるで相手の襟首を締め上げるように窓枠を握る手に力を込める。それでどうなるわけでもないが、少しくらいは気晴らしになったのか、外を睨んでいたディンはひとつ大きな溜息を吐いて窓を閉めた。

「ったく、朝から疲れただろーが……。
昨日も大変だったし、……寝よ」

カーテンの閉じられた窓の外からは、目を覚まし始めた街が今日を始めようと喧騒と共に活動を始める。
そんな爽やかな朝の初めに、ディンはぱたり、とベッドに横になって惰眠体勢を取った。
考えてみれば、昨日は早朝から浜辺のイベントに参加し、夜まで騒いで疲れたところにアレ、だ。その後でも色々と話し込んだり爆発の痕跡を消したりで、宿の人間に見つからないように部屋へとこっそり戻ってきたのはつい二時間前。
今から眠ったら、きっと夕方まで気持ちよく眠れることだろう。

「起きたら精霊力も安定してるだろうし、戻れる、よな……。
ああでも、マジうざ。しんど。だる。あづー……」

呟く言葉は寝息と共に。伸びた手足を持て余すように身を縮め、小さくなってシーツに潜り込んだディンは、落ち着かない身体を宥めるように呼吸を一定に保ちながら愚痴を吐く。

「おやすみなさーぃ……」

目覚めればまた向き合う現実。それでも今は、眠りの靄が全てを覆い隠してくれる。
偽りの姿に対して愛着を感じ始めている己を脳の片隅で理解しながら、青年の姿をした偽りの少年は、それから目を背けるように眠りに落ちていった。




えー、大概長いですな。私も何書いてるのかと思います。話にまとまりがないけどいいんだ! 自己満足だから!(こら)
そういうわけで先日設定だけ出していた父上のご登場です。…ウザイよねこんな親(いらね)
夏の父。ちなみに今日の衣装はこれだそうです。…これで二児の父親。
イラストは先日と同じく某ピエロさんより。可愛いけど、だがしかし!(笑)
コレ以降ウサ耳とか着ぐるみとか着てましたよこの阿呆。
鬱陶しいですなー…うむ(うむじゃねぇ)

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2007/10/03 23:00 | Comments(0) | 行動記録

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